双子が産まれました
2022年6月15日、待望の子供が産まれました。
一卵性の双子の女の子で、今のところ大きな問題もなく、日々すくすくと成長しています。
しかしここまでの道のりは思っていたよりもずっと厳しく、険しいものでした。
この道程を記憶の奥底に忘れ去ってしまうわけにはいかないと感じ、多少落ち着いてきた今のうちにまとめておくことにしました。
双子の発覚
2021年の11月末くらいだったでしょうか。
妻の妊娠が判明し、定期的に通院するようになりました。
最初のうちはまだ双子だと判明しておらず、2人目はどうしようかゆっくり考えようなどと気楽なことを話していました。
それが12月中旬、妻からLINEで突然の双子だと判明したとの報告を受けました。
2人目の子供はどうするなんてことを言っていられなくなりました。
なにせ2人同時に産まれるんですから。
最初の病院では双子のケアを十分に行えないらしく、より大きな病院に切り替えることとなりました。
重いつわり
双子と判明したあたりから、妻につわりの症状が出始めました。
つわりの症状は双子の方が重いと言われていますが、あまりに個人差が激しいのでその信憑性はちょっと微妙です。
ですが妻には当てはまってしまったらしく、かなり重いつわりに苦しむことになりました。
新婚生活が始まって一ヶ月くらいで、家事の分担比率が一気に夫側へ傾きました。
正直それだけなら喜んで家事を負担したのですけど、3月末に執筆の〆切が控えているのが問題でした。
執筆と家事のダブルパンチで、家事の手を抜くわけにもいかず、進まない執筆に追い詰められる日々を過ごすことになりました。
一時のやすらぎ
大変だと言ってもなんとかなるもので、執筆は予定通りに完了し、妻のつわりもだいぶ良くなってきました。
家事分担も同じくらいに戻り、双子の経過も順調で、妊娠中に避けないといけない食べ物が恋しくなってきているくらいしか問題がありませんでした。
羊水の偏り
2022年4月下旬の定期検診で、不穏な兆候が出始めました。
双子の羊水の量が偏ってきたというのです。
これは双胎間輸血症候群(TTTS)の症状で、約10%の確率で発症すると言われています。
最初は経過観察でしたが改善することはなく、ゴールデンウィークとほぼ同時に管理入院することになりました。
入院は急に決まったので大急ぎで準備を行い、双子が産まれてから必要になるものも事前に買い揃えることにしました。
運命の選択
入院の開始にあたり、治療方針について大きな選択を迫られることになりました。
双胎間輸血症候群の治療は大きく分けて2種類あり、片方は増えすぎた方の羊水を抜きつつ、双子の成長をできる限り待つ方法、そしてレーザーで双子間の羊水の流れを断ち切る方法です。
これにはそれぞれメリット・デメリットがあり、羊水を抜く方法はもし片方が亡くなってしまうと高確率でもう片方も亡くなってしまいます。
レーザーを使う方法はその時点で羊水の偏りを止めることができますが、約25%の確率で片方が亡くなってしまいます。
今までの人生で様々な選択をしてきましたが、ここまで重大な選択をしたことはありませんでした。
自分の決断に文字通り命がかかっているのです。
ただ今回は完全平等な二者択一では無かったのが救いでした。
羊水が偏る速度が比較的遅いこと、現在の週数ではレーザーの手術の難易度が高くなることなどの要因があり、羊水を抜く方法の方に分があったのです。
自分は羊水を抜く選択をしました。
それでも決断が正しかったかなんてその時点ではわかりません。
双子に関わるすべてを信じる、それ以外できることはありませんでした。
入院生活
そうして妻の入院が始まり、新婚生活が半年を迎える前に一人暮らしとなってしまいました。
双子の無事を祈りつつ、週末は着替えを病院に持っていく生活が始まりました。
新型コロナウイルスの影響もあり、入院してから妻の顔を直接見ることすら叶いませんでした。
幸い羊水が偏る速度が悪化することはなく、良い意味で入院が長引くことになりました。
しかし妻は相当寂しい思いをしたことでしょう。
これだけ長期の入院生活を過ごした妻には、尊敬の念を抱かずにはいられません。
双子の誕生
これ以上お腹の中にいてもメリットよりデメリットの方が大きいだろうということで、6月15日に帝王切開することになりました。
早産には変わりないので、すぐに新生児特定集中治療室(NICU)で治療を受けることになります。
問題がなければ本来の出産予定日である7月下旬ごろに退院する予定です。
当日は仕事を休んで面会しに行きました。
いても立ってもいられず、手術のだいぶ前から病院近くでうろうろしてしまっていました。
手術の結果は電話で伝えられるのですが、双子が生きて出産されたと聞いた瞬間、一気に心が軽くなったのを覚えています。
その後の検査で大きな問題が無いことを説明され、いよいよ双子と対面する時となりました。
その姿を見た瞬間、全力で涙をこらえたのを覚えています。
確かに小さな生命がそこにあって、自分でも感情の出どころがわからない歓喜の涙が止まることなく押し寄せてきたのです。
わずかに目を開く瞬間があり、手を振ると確かに目で追ったのです。
父親になったことをさらにハッキリと自覚することとなりました。
ふたりとも、これからよろしくね。