この説明は…いける!?
つい最近、今のSIerの現状を説明する機会がありました。そのときにSIerの組織形態をファーストフード店に例えると、
今まで自分がSIerについて発言したことを見事に説明できました。
これは使えるかもと思い、
文章として整理してみる運びとなった次第です。
オーダーメイド型のファーストフード店
ただ一点だけファーストフード店のメタファーでは馴染まない店があります。それは提供する商品です。
ファーストフード店ではいくつかのメニューを大量生産して売りさばくわけですが、
SIerではそうもいきません。
現状では全てが一品物のオーダーメイドです。
ハンバーガーに例えるなら、
どのバンズにして、どのパティにして、トマトを入れたりレタスを入れたり、
あ、チーズを挟むのも全て自由に選択できます。
ただ自由に選択できるがゆえに、
お客様が具材に餡やシメサバを指定したらその通りとなってしまいます。
それで幽体離脱する事態になったとしても、
それはお客様が望んだことなのです。
気の効いたアルバイターは注意してくれるかもしれませんが、
お客様がその忠告を聞いてくれることは少ないようです。
その上でオーダーメイドの分料金がかさみます。
まあだから色んな方が文句の一つも言いたくなるんです。
パッケージ型ソフトウェア会社は高級レストラン(でも安い!)
SIerに対して、メニュー通りに作ったものを大量に売って収益を得るソフトウェア会社も存在します。
よくパッケージ型とか言われていたと思うのですが、
こちらには高級レストランのメタファーを適用します。
実際の高級レストランと違うのは、
逆にオーダーメイド率が下がっていく点です。
そして高級レストランであるにも関わらず、
その値段は手頃です。
ここが面白いところで、
会社の組織形態が高級レストランに近づいていけばいくほど、
販売する商品の形態はむしろファーストフード店に近づいていくのです。
その店に目をつぶれば色々と符号する点が見えてきます。
一度ソフトウェアの品質を向上させると、
その後は(いやそれ以前に買ったお客様も)ずっとその恩恵を受けることができます。
これはソフトウェアには変動費がほとんど無いことが原因です。
真の意味で売れば売るだけ得なのです。
ならばとソフトウェアの品質を向上させて、
大量に売れるように努力するように力が働きます。
その為に、
一流のシェフ(プログラマー)を雇って品質の向上を行うわけです。
評論家が料理(ソフトウェア)の品評をしているので、
買う前からある程度味(品質)が分かるのも特徴でしょうか。
ファーストフード店にシェフはいない(いらない)!
対して、SIerはそうもいきません。こちらは全てがオーダーメイドなので、
たまたま品質が良いハンバーガーが出来上がっても次がそうとは限りません。
シェフを雇っても毎回レシピを考えさせたら回転が止まってしまいます。
よってアルバイトを大量に雇って、
大した経験が無くてもハンバーガーが作れるように手順を整備します。
シェフはフライパンや鍋や包丁や鉄板やオーブンで様々な料理を作ることが可能ですが、
アルバイトはハンバーガー専用の機器が必要となります。
というかそれしか店には置いてないので、
アルバイトの中にシェフが混じっていても同じ機器を使わざるを得ません。
「料理(プログラミング)の腕を振るえると思ったのに…」
シェフ(プログラマー)は現実を悟り、
SIerから離脱していきます。
それでも難しいオーダーメイドが成立することがあるのは、
シェフの個人的な調理器具を置いておける程度には寛容な店もあるからです。
調理難度が高い注文が来たときは、
手持ちのフライパンと包丁で片付けてしまいます。
ただこれが評価されることは少ないです。
ファーストフード店(SIer)の評価基準は、
店の器具(SIerの手法)を上手く使えたかどうかの評価です。
フライパンや包丁を上手く扱えるようになることは、
始めから評価項目に入っていないのです。
店の機器を使った場合は平均的なのであれば、
きっと平均的な評価となるでしょう。
ここでもシェフ(プログラマー)は現実を悟り、
SIerから離脱していきます。
調理難度が高いオーダーメイドが成功するかどうかは、
運良くシェフが居残っている幸運にかけるしか無いのです。
こんだけ文句言いつつも
でもそれでSIerが潰れることは無いでしょう。高級レストランはオーダーメイドには消極的なので、
対決する相手は同じSIer同士なのです。
結局値段も質も五十歩百歩、
お客は損をしている実感もないまま購入を続けることでしょう。
どこで買っても*大差ない*んですから。
今までのSIerが潰れる日があるとすれば、
ファーストフード店のメタファーが通用しないSIerが、
世間一般(大口の顧客)に認知されるようになってからでしょう。
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